インターンシップとは、学生が実際に仕事を体験する機会です。働くことの解像度を高めるために参加するものだと言われていますが、実際のところ、インターンシップではどんな仕事を任されるのでしょうか?詳しく見てみましょう。
インターンシップとは?
インターンシップとは、主に大学生などの学生が企業や組織で実際の業務を体験する機会を指します。
文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三省が合意した定義によれば、インターンシップは「就業体験が必須」であり、「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」を目的としています。
参考: 文科省 厚労省 経産省が策定したインターンシップの定義
ただし、日本国内では、インターンシップという言葉はもう少し広く解釈されています。多くの企業が独自のインターンシッププログラムを提供しており、単に職場体験に留まらず、業界理解や職業適性の確認を目的とするものも多く、インターンシップが選考のひとつの段階になっていることも少なくないでしょう。
インターンシップを通じて、学生は自分の適性や興味を確認し、将来のキャリアに対する理解を深めることができます。また、インターンシップに参加することで、業界のトレンドやビジネスマナー、企業文化を実際に体感し、学ぶことができるのも大きなメリットです。
このように、インターンシップは学生にとって、就職活動前の貴重な経験の場となっており、自分自身の能力やキャリアの方向性を見極める上で重要な機会となっています。
インターンシップは大きく2つに分かれる
インターンシップは、大きく分けて短期インターンシップと長期インターンシップの2種類が存在します。学生は自分の目標やライフスタイルに合わせて、どちらの形式が適しているかを選ぶことが求められます。
短期インターンシップ
短期インターンシップは、1日から2週間ほどの短期間で行われるインターンシップです。企業の業務の一部を体験し、会社の雰囲気や業界の特徴を掴むために最適な形式です。
特に就職活動の初期段階で、自分に合った業界や職種を見つけたい方にとって、有益な機会となります。短期インターンシップでは、企業説明会や業界研究セミナー、ワークショップ、グループディスカッションなどが主要なプログラムとして用意されており、短期間で効率よく情報を得ることができます。
長期インターンシップ
一方、長期インターンシップは、通常3ヶ月以上の期間をかけて行われるインターンシップです。学生は実際の業務に深く関わり、企業の一員として働く経験を積むことができます。
この形式のインターンシップでは、給与が発生することが多く、実践的なスキルを習得するだけでなく、バイトの代わりの収入源にもなります。
さらに、長期インターンシップでは、学生がプロジェクトに参加し、具体的な成果を出すことが期待されます。成果を残せた場合、インターンシップ終了後に正社員として採用されるケースも少なくありません。
短期インターンシップは何する?具体例を解説
短期インターンシップでは、企業ごとに多種多様なプログラムが用意されています。以下に、一般的な短期インターンシップの具体例を2つ紹介します。
①1Dayインターン(ビジネスコンサルタント株式会社)
ビジネスコンサルタント株式会社の1Dayインターンはオンラインで行われ、所要時間は約5時間でした。
始めの1時間で会社説明が行われ、その後実際の業務内容をもとに設定されたグループワークを実施。また、最後にグループワーク課題について、社員の方からのフィードバックがありました。
このように、1Dayインターンでは会社説明と簡単なグループワークを行うことが主流です。グループワークの様子は社員の方にも見られていて、高評価を得た学生が次のインターンや選考に案内されるケースが多いようです。
また、オンラインで数時間で行われる1Dayインターンも多いため、1日に複数社のインターンシップに参加することもできます。
②2weekインターン(freee株式会社)
freee株式会社はクラウド会計ソフトfreeeなど、企業の業務を効率化する製品を提供している、IT企業です。
freee社の2weekインターンは、実際に社員の方たちと一緒にプロダクト開発に取り組むという内容でした。1Dayのような短いものと異なり、2週間ほどのインターンでは、実際の業務に携わることができるという利点があります。
また、いきなり一人で現場に投入されるのではなく、社員の方がメンターとしてついていてくださるため、業務に際して足りない知識については、逐一質問し、学んでいくことができます。
freee社の2weekインターンシップは、インターンシップ中の成果によって、特別選考ルートが紹介されることもあるようです。
会社としても、2weekインターンシップは1Dayインターンシップよりさらにコストと労力をかけているので、優秀な学生を見抜き、採用に繋げたい意図があります。ですので、ここで活躍することができれば選考で大変有利になります。
長期インターンシップは何する?職種別に具体例を解説
いくつかの職種について、長期インターンシップでの具体的な業務内容を紹介します。
①営業
営業職の長期インターンシップでは、顧客との商談や契約の締結、アフターフォローなど、実際の営業活動を行います。
ある不動産会社では、インターン生が担当エリアの物件を紹介し、顧客のニーズに合わせた提案を行っています。インターン生は、顧客とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、契約までのプロセスをサポートします。
業務の流れとしては、アポ取りと物件の紹介を繰り返し、成約を目指すという形です。地道な努力が必要ですが、成約できたときの達成感は非常に大きいものです。
営業職は成果が目に見える形で評価されるため、インターンシップで得た実績は就職活動時にも強みとなります。
②マーケティング
マーケティング職の長期インターンシップでは、市場調査やデータ分析、プロモーション企画の立案・実施などが主な業務となります。
ある飲料メーカーでは、インターン生が新製品の市場調査を担当し、ターゲット層のニーズや市場トレンドを把握するためのデータ収集を行い、マーケティング戦略を立案してプロモーションキャンペーンの企画を提案しています。
マーケティングでは、結果が売上や認知度の向上として表れるため、自分のアイデアがどのようにビジネスに貢献しているのかを実感することができます。
③エンジニア
エンジニア職の長期インターンシップでは、プログラミングやシステム開発、テストや保守運用などの業務に携わります。
あるスタートアップ企業では、インターン生が開発チームの一員として、新機能の実装やバグ修正を行っています。具体的には、プログラムのコードを書いたり、他のエンジニアと協力してシステムの設計を行ったりします。
インターン期間中に自身の技術力を高めることで、エンジニアとしての自信を深めたり、面接でアピールしたりすることができ、将来のキャリアに大きく貢献するでしょう。
④デザイナー
デザイナー職の長期インターンシップでは、グラフィックデザインやウェブデザイン、UI/UXデザインなどの業務に従事します。
あるIT企業では、インターン生が新商品のウェブサイトのデザインを担当します。デザインコンセプトの立案から始まり、ユーザーインターフェースの設計、ビジュアルデザインの作成、最終的なデザインの実装までを行います。
デザイナーとしてのインターンシップでは、クリエイティブな発想力やデザインスキルを実践で磨くことができると同時に、プロジェクトを通じてチームでの協働やクライアント対応のスキルも身につけることができます。
⑤編集・ライター
編集・ライター職の長期インターンシップでは、記事の執筆や編集、リサーチなどの業務を行います。
ある出版社では、インターン生が雑誌やウェブメディアの記事作成が主な業務です。
まず、特定のテーマについてリサーチを行い、記事を執筆。執筆後は、編集担当者と共に記事の内容や表現をブラッシュアップし、最終的に公開に至るまでの全工程を経験します。
編集・ライター職のインターンシップでは、文章力や情報整理能力を高めることができるほか、読者に分かりやすく伝えるための表現技術を学ぶことができます。また、記事が読者にどのように受け入れられるかを短いスパンで確認できるため、フィードバックを基に技術を磨いていくことができます。
インターンシップに参加するメリット・意味とは
インターンシップに参加することは、就活をする上で重要なステップです。短期インターンシップと長期インターンシップにはそれぞれ異なるメリットがあります。
短期インターンシップ
- 入社したい業界・会社について理解できる
- 場合によっては選考につながるケースも
- 就活の仲間ができる
短期インターンシップに参加する最大のメリットは、入社を希望する業界や企業についての理解を深めることができる点です。短期間であっても、企業の業務内容や社風を直接体験することで、自分に合った職場を見つける手助けとなります。
さらに、短期インターンシップを通じて企業と接点を持つことで、その後の選考プロセスで有利になる場合もあります。特に、特定の企業への志望度が高い場合には、インターンシップ中のアピールで企業側からの評価を得ることができ、内定に繋がる可能性が高まります。
また、同じ目標を持つ仲間との出会いは、就職活動を進める上で大きな支えとなります。インターンシップで一緒に就活を頑張る友達を作ることができれば、情報共有や励まし合いを通じ、お互い支え合うことで就活をより実りあるものにすることができるでしょう。
長期インターンシップ
- アルバイトよりもより深く仕事の経験が積める
- 同期よりいち早く社会人同等の経験ができる
- 就活でも圧倒的に有利になる
長期インターンシップのメリットは、アルバイト以上に深く仕事の経験を積める点です。日常的な業務に従事することで、実践的なスキルや知識を身につけることができます。
また、インターンシップで実際に働くことで、同期よりもいち早く社会人同等の経験ができることも大きなメリットとなります。
さらに、長期インターンシップで得た実績は、就職活動においても大きなアドバンテージとなります。企業はインターンシップでの成果や経験を評価し、内定に結びつけるケースも少なくありません。
長期インターンシップは、自分自身が本当にやりたいことや適性を見極める機会にもなります。インターンシップ中に、どんな仕事や働き方が自分に合っているかを確認し、将来のキャリアをより明確にすることができます。
このように、長期インターンシップに参加することで、ライバルに先駆けて仕事の経験を積めたり、社会人として働くことへの解像度が高まったりすることで、就活でも圧倒的に有利になります。